拝啓
福岡では梅の花が二分から五分咲きといったところです。
拙寺は同封しました写真のような林に囲まれたところにあります。
この写真は雪も消えておりますし、暖かいように見えますが、福岡県内では寒い山寺のひとつです。
しかし、なんと言っても雪の続いている新潟のことゆえ、さぞかし難儀なされていることでしょう。

さて、先日は素晴らしい御本「破天」を送っていただき、ありがとうございました。
佐々井秀嶺老師のような己を捨てるというを行いが、千万分の一ほどでも自分にあろうかと、
自分自身の中を探っております。

野田老師様とお別れしました後、入院そして手術となり、
今は自坊にもどって安静の日々を過ごしております。この「破天」を読んで、
痛みや不安を家族に訴え、甘えている私を
佐々井老師がお叱りなさっているように思えてなりませんでした。

あの教区研究会の後、隣保館に集合し、
未指定地区や生活環境改善の未施工地区等の現地研修をさせていただきました。
これだけの仲間外しがありながら、行政が手を打っていないことが非常に残念でした。
また、住民や檀家の方々の思いの中に、「人間の中には上下があってしかるべき」という
とんでもない思い違いがあるように感じられました。
何も私は新潟県だけを責めているのではありません。
温度の差こそあれ、福岡県内も同様です。
月岡温泉に行く前日に立ち寄りました山形県のある地区でも、似たようなものを感じました。
くどくど申し上げましたが、御本「破天の」のお礼を重ねて申し上げ、
野田老師のご健勝ご活躍をお祈り申し上げます。敬具。

野田尚道老師

2001年2月16日

         円通院 狩野俊猷 頓首

           (失礼ながらこの文章は寝たままお喋りし、娘に打たせたものです。お許しください)